技術コラム外観検査装置導入ガイド|
検査項目を把握し検品自動化を実現する

食品や医薬品、そして化粧品における異物混入は、安全性の観点から消費者にとってセンシティブな問題です。不良品の市場流出は許されないため、外観検査は非常に重要です。また、ネジなど一般的な工業製品においても、品質保証のために外観検査は重要な工程です。

一方、昨今における労務費の高騰や少子高齢化に伴う労働人口の減少により、採用環境が厳しくなっています。そのため、検査装置導入に伴う省力化により、付加価値の高い作業への配置転換など副次的な効果も期待できます。

本記事では、そのような問題を解決できる外観検査装置を紹介します。外観検査装置で検査できる項目と目視検査では対応が難しい理由を述べ、最後に山善TFS支社が提供する外観検査ソリューションをお伝えします。

外観検査装置導入ガイド|検査項目を把握し検品自動化を実現する

外観検査装置とは

外観検査装置とは、製品の外観をカメラやX線などを用いて検査する装置のことをいいます。食品分野における個包装製品から医薬や化粧品まで各業界の製品に対応したさまざまな外観検査装置があります。

外観検査装置は生産ラインに組み込むことができます。そのため、タクトタイム内で(人間の目より速く)、人間の目より正確な検査が可能です。

検査内容も多岐にわたり、シール(内容表示シール等)の健全性、フィルムや外観の品質、表面の欠陥やコンタミ、表示や識別とさまざまです。これらの検査をするためには各検査項目ごとに専用の装置が必要ですが、1台に機能を集約した装置もあります。

外観検査装置で検査できる代表的な項目

ここでは外観検査装置で検査できる代表的な4項目について説明します。それぞれ、目視検査が難しい理由も述べますので、外観検査装置の重要性をより理解できるでしょう。

フィルム・外観品質

検査内容

フィルム・外観品質検査では、包装材の物理的な状態を詳細にチェックします。検査対象は、フィルムの引っ張り試験用ノッチ(ダーツ)の形状・位置確認、しわ・たるみ・気泡・白化などの検出、異物付着の有無などです。

フィルム厚みの均一性やラミネート剥離、コーティングムラなどの品質面も重要な検査項目です。これらの検査により、包装材としての機能性と外観品質の両面を保証できます。

目視検査が難しい理由

フィルムの外観品質を目視で判断するには多くの制約があります。しわや気泡は照明の角度や反射条件によって見落としが発生しやすく、特にフィルムのギラつきにより判断が困難になるケースが発生します。成膜ムラや厚み不均一は外観だけでは判断できないため、品質のばらつきを見逃すリスクがあります。

ノッチの寸法や角度測定は定規での手作業となり、測定のばらつきや作業効率の低下が避けられません。高速生産ラインにおいては、これらの検査を全数実施することは現実的ではありません。

表示・識別

検査内容

表示・識別検査は、消費者への情報提供と法的要求事項の確認を目的とした重要な検査です。賞味期限・ロット番号・バーコード・QRコードの印字品質(欠け・かすれ・有無)を確認し、ラベルの貼付状態(品種違い・印刷色ズレ・折れ・気泡)をチェックします。

さらに、ラベルや印字の位置ズレ・回転ズレ、包装デザインとの相対位置関係も検査対象となります。これらの検査により、製品の法的適合性と消費者への正確な情報提供を保証します。

目視検査が難しい理由

高速生産ラインでは、文字やコードの判別速度が人間の視覚処理能力を超えるため、正確な検査が困難になります。同系色の印字(黒地に黒印字など)は照明条件によって視認性が大きく左右するため、見落としのリスクが高まります。

位置ズレや角度ズレの定量的な評価は人手では限界があり、数mm単位の微小なズレを一貫して検出することは非現実的です。また、作業者の疲労や慣れにより、検査基準にばらつきが生じやすく、品質の安定性確保が課題となります。

シール健全性

検査内容

シール健全性検査は、包装の密封性を保証する最も重要な検査の一つです。シール幅・温度条件・圧力の均等性を確認し、異物噛み込み(粉・フィルム片・乾燥剤など)の検出を行います。また、微小リーク(ガス漏れ・液漏れ)の早期発見や、数十μmレベルのピンホール・微細なクラックの検出も実施します。

これらの検査により、製品の保存性と安全性を確保し、消費期限内での品質維持を実現します。特に食品包装においては、酸素や水分の侵入を防ぐことで、食品の劣化を防止する重要な役割を果たします。

目視検査が難しい理由

シール部分の微小な欠陥は、光学的な確認や指での触診では見逃しやすく、特に数十μmレベルの穴は人間の視覚では検出不可能です。透明フィルムやヒートシール内部に噛み込まれた異物は、透過・反射条件によって見えない場合が多く、角度を変えても発見できないケースがあります。

リークは時間経過とともに顕在化する性質があるため、製造直後の検査では検出できず、全数を時間をかけて検査することは生産効率上非現実的です。これらの理由から、健全性の確実な保証には外観検査装置が不可欠となります。

表面欠陥・コンタミ

検査内容

表面欠陥・コンタミ検査では、包装表面の物理的損傷と汚染物質の検出を行います。擦り傷・打痕・変色・汚れ(油分・粉末・液体)の有無を確認し、異物付着(毛髪・繊維・塵埃など)を検出します。

特に食品包装では、消費者の購買意欲に直結する外観品質の維持が重要であり、微細な欠陥も見逃すことはできません。また、傷や汚れは製品の衛生面にも影響するため、食品安全の観点からも厳格な検査が求められます。

目視検査が難しい理由

色や模様のあるパッケージでは、傷や汚れがデザインに紛れて識別が困難になります。微細な汚れや薄い擦傷は一瞬の目視では見逃しやすく、特に照明条件や角度によって見え方が大きく変わります。作業者の疲労や作業環境への順応により、時間経過とともに検出感度が低下する傾向があります。

さらに、主観的判断に依存するため、作業者間での基準のばらつきが生じやすく、一貫した品質保証が困難となります。これらの課題を解決するためには、客観的で安定した検査能力を持つ外観検査装置の導入が効果的です。

外観検査装置の選定が難しい理由

検査装置を初めて導入する場合、現在行っている検査を自動化できる装置の選定には一定程度装置の知識が必要です。また、複数の検査を行っている場合は、検査の工程数と同数の装置が必要になるため、装置選定の難易度は高くなります。

装置が増えるほど生産ラインの占有長さが長くなり、ライン延長が必要な場合もあります。装置が複数ある場合は個別調整に加え、異なるメーカーの場合は折衝の手間も増加します。

さらに、外観検査装置は多種多様で対応できる検査項目や検査方式が異なり、方式ごとの原理や限界を理解するだけでも大きな負担となります。そのため、①方式ごとの技術理解、②工程全体での装置配置とライン再構築、③マルチベンダー間の折衝と運用設計という三つのレイヤーで判断基準が複雑に絡み合い、事前の情報収集と段階的な検証プロセスなしでは適切な装置選定は極めて困難になります。

山善TFS支社の外観検査ソリューション

インラインの全数検査を実現します

食品、医薬品、化粧品は人の口に入ったり、肌に直接触れたりするため高い安全性が求められ、包装にも同様の安全性が必要です。特に異物混入など異常品の市場流出は許されません。

それを防ぐためには全数検査が必要ですが、効率の面からも精度の面からも人間の視覚に頼った検査は現実的ではありません。

そこで役立つのが「外観検査ソリューション」です。

素早く正確に外観検査ができるため、生産効率に影響を与えることなくインラインで外観の全数検査が可能です。

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